アピール 登校拒否・不登校、過去最多24万人超

アピール どの子も安心して通える学校に!

 1月24日教育相談おおさかは、大阪府庁にて記者会見を行いアピールを発表しました。
 コロナ禍3年、増え続ける登校拒否・不登校児童生徒の姿に、このままでいいのか?
 ご家族・先生方・支援者や行政関係者の方々、みんなで考えあいましょうとよびかけています。教育相談おおさかは、機会をとらえ多くのみなさんと登校拒否・不登校問題の解消に向けご一緒に力を合わせていきます。

 アピールのダウンロードはこちら(PDF)

アピール全文です。

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アピール 登校拒否・不登校、過去最多24万人超

「管理と競争・詰め込みの教育」を見直し、どの子も安心して通える学校に!
今こそ、親・学校・まわりの大人みんなで話し合いましょう

2023年1月24日

NPO法人おおさか教育相談研究所(略称:教育相談おおさか)

1.コロナ禍「登校拒否・不登校無料電話相談」に届いた子どもたちの生きづらさ

 教育相談おおさかは、2020年のコロナ禍から3年間、8月夏休み明けに登校拒否・不登校「無料電話相談」に取り組みました。子どもたちはコロナ禍でも止まることを知らない「管理と競争・詰め込み教育」の学校から、自分の「心といのち」を守るために登校を拒否している実態が浮かび上がりました。

① 突然の思いもよらなかった一斉休校(2020年8月):その後の部分登校・短い夏休みと大きく生活リズムを壊され、友だちと近づくことや笑い合うことが禁じられ、楽しみにしていた行事がなくなり、苦しんでいる子どもたちの相談が集中しました。蕁麻疹・過呼吸・頭痛・腹痛・食欲不振などの身体症状に苦しむ声。特に中1・高1など新しいスタートを断ち切られた子どもたちは「友だちが誰かもわからない、自己紹介もない、自分の居場所すらわからない」と訴えました。

② コロナの収束が見通せない(2021年8月):毎日のように救急車が走る様子や「死者数」が報道される渦中で
の相談で、小学生から高校生まで「『死にたい』と子どもが言う」という相談が4件もありました。母親が看護師のため「コロナがうつる」と言われ登校できなくなった子ども、夏休み明けすぐのテスト中に「人の顔が白く見える・視線が怖い」「紙をめくる音が怖い」と訴え、追い詰められた中学生など、まさに悲鳴が聞こえました。

③ 中学3年生の相談が一番多く(2022年8月):中学校生活の3年間をコロナ禍で過ごし、「コロナ禍だけど勉強も塾も部活も完璧にやらなくては」とずっとがんばって受験に向かっていた子どもたちが学校に行けなくなっています。「何をやってもうまくいかない」「何かに取り組む力も湧いてこない」と自分を責める、感染で欠席しても、山のような宿題に追われ「学校はつめつめでしんどい」「学校に行く意味がわからない」と容赦のない詰め込み教育に息切れしている様子が浮かび上がってきました。

2.登校拒否・不登校過去最多小中合わせて24万4940人

 登校拒否・不登校問題の直接の原因は学校にあり、根本的な要因は社会にありま。す
 文部科学省は2022年10月「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」を発表し、2021年度の不登校者数が過去最多の24万4940人だったことがわかりました。前年度から24.9%(4万8813人)増え、その増加率も過去最大となりました。

① 登校拒否・不登校の根本的な要因は社会にあります

 大企業の利益を最優先の「新自由主義経済」は、働く人の賃金を低く抑え込み非正規雇用を増大させ、親・若者の働き方を大きく変えました。セーフティネットの不十分な中、格差と貧困が広がり若い親たちに経済的不安を強いており、また環境・災害・平和・コロナ禍など大きな不安が未来社会を覆っています。

② そして、登校拒否・不登校の直接の原因は学校にあります

 国は、1960年代より「人格を育む教育」から「人材育成の教育」へとし、加えて新自由主義で教育・子育てを保育所から大学まで儲け最優先に、2006年教育基本法改定・教育振興計画による国・行政の教育への介入を可能にして、教育を大きく変えてきました。「競争と管理」・新学習指導要領による過去最高の「詰め込み教育」は、教育の多様性・寛容性をなくし子どもたちの大きな生きづらさとなっています。

教室に入りづらい・学校に行きづらい子どもたちに寄り添い
学校教育への信頼を取り戻し、どの子も安心して通える学校にしていきましょう

3.保護者・ご家族のみなさんへ

 まず、子どもに「安心してゆっくり休んでいい」ことを伝えましょう

① 子どもにとって今一番必要なのは「安心して休むこと」です。人間は本来「自己回復力」や「自己成長力」を持っていますが、不登校状態の子どもはその力が極めて働きにくくなっています。子どもの「心といのち」を守り、安心してゆっくり休ませることによって、子どもが自らその力を十分に発揮できるようになります。

② 「なぜ登校できないのか」と理由を聞くことはやめましょう。この質問は、不登校の子どもにとって最もつらい質問です。原因や要因は複合的で説明できず、答えられません。子どもは答えられない自分を責めて、もっと落ち込みます。また、「何かをさせよう」とすることもやめましょう。

③ 「どんなことでも味方になる」と伝え、子どもとの信頼関係をつくっていきましょう。子どもは休んでいても、心の中は不安でいっぱいです。どんなことでも味方になり、一緒に考え応援することを伝えましょう。

4.学校の先生方へ
 父母・関係者との共同でどの子も楽しく学び合い安全安心の学校づくりをすすめましょう

 いきしぶり・親との登校・部分登校・別室登校・保健室登校・行事だけ参加するなど、登校の仕方は様々であっても、学校とのつながりがあるということはとても大事です。その子のリズムや願いを尊重し、安心して安全に登校できるように配慮しましょう。
 「別室登校」は、子どもが「いつもここにいていいんだ」と思えるような子どもにとって過ごしやすい別室体制を作ることが大事です。子どもが安心できる保健室登校も保障しましょう。「部活には参加できる」「学童には行ける」という場合は、部活顧問や学童指導員と連携し友だちと過ごす時間を大事にしましょう。また、再登校した時はそれだけで安心せず、再登校時に応じた支援が必要です。子どもはうれしい反面、不安と緊張・しんどさの連続で矛盾した思いを持っています。宿題軽減など、特別の配慮体制で見守りましょう。

① 登校拒否・不登校の支援は担任まかせにせず、学年や学校全体で。支援機関との連携も図りましょう。

② コロナ禍3年の子どもたちの生きづらさに寄り添う教育を。子どもたちは「詰め込み教育」に学ぶ喜びを持
てなくなっています。復習の時間もとり、ゆっくり楽しくよくわかる授業をめざしましょう。

③ できる限りの文化行事や学校行事を復活させ、子どもたちが話し合って取り組めるようにしましょう。

5.文科省・各教育委員会など教育行政に携わるみなさんへ
 学校現場の声に耳を澄まし、今すぐ次のことに取り組んでください

① 「どこにもつながっていない」36.3%の子どもについて早急に実態を調査し必要な支援を進めてください。

② 「担任がいない状態」をすぐに解消し、30人以下学級早期実現・教職員定数増に取り組んでください。

③ 学習指導要領を見直し、「管理と競争・詰め込み教育」をなくし、「学力テスト」を中止してください。

6.まわりの大人みんなで子どもの声に向き合い「子どもたちに最善のもの」を
 子どもの権利を守り、未来に希望の持てる社会になるよう努力しましょう

 教育費・給食費・医療費の完全無償化などセーフティネットの充実、保育・学童・学校現場の要望にそったコロナ対策支援、子どもの貧困解消・ヤングケアラー支援・生活保護を受けながらの大学進学支援、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・子ども家庭センター・支援員の増員と安定的雇用の実現をめざしましょう。

以上、よびかけます。