要求を出してきたときは 最優先に 無条件で 最大限に応える
NPO教育相談おおさか相談員 村上 公平
これまでは社会的ひきこもりの人であれば、どの人の場合にも必要な、「基礎的な援助の仕方」について述べてきました。今回からはそうした援助によって立ち上がりがすすむなかでの、第一段階の「立ち上がりの状態に応じた援助の仕方」について説明します。
立ち上がりの状態の「意味」と「意義」
立ち上がりの状態には、いろいろな意味と意義がありますので、まず始めにその意味について考えます。その1つは、ひきこもり状態(非社会の生活)になって、それまでの社会生活のなかでできていた行動の大半ができなくなっていた状態から、再びできるようになる「回復」の意味があります。2つ目は、回復しつつ社会参加に備えての新たな力を養う「新たな自分づくり」もします。
信頼関係と繋がりの回復
また、こうした行動ができるようになるのは、それまでの親の皆さんの援助の努力が実って《親子の信頼関係と繋がりが回復して強くなり》、社会参加に向けての意欲がだんだんと向上するところにあります。そのため、典型的な事例では立ち上がりの行動に順番が見られます。
「甘え」と連動して出してくる「要求」
最初の行動は、甘えの行動と連動してさまざまの要求を出してくることです。その内容は、ゲームセンターや買い物・ドライブなどに一緒に行きたいとか、好きな飲食物や本あるいはファッション関連グッズを買って欲しいなど多岐にわたっています。
このような要求行動には、つぎのような重要な意義がありますので、そのときは《最優先に無条件で最大限に応える》ことが大切です。それは、やっと要求が出せるようになったばかりなので、待たされたり、値切られるようなことがあれば、その芽が枯れて立ち上がりが進まなくなるからです。
自己回復力と自己成長力が働き易く
①これまでの援助の重要な課題であった《受容されていること》が実感されてきている。②その結果、必要に応じて自分を出すことができるようになってきている。③要求がかなえられることによって生活の質が上がる ④そうなれば、ストレスが少なくなるため、立ち上がる力の自己回復力と自己成長力が働き易くなり、いっそう立ち上がりが進む。⑤同時に、立ち上がりのベースである親子の信頼関係と繋がりも強く、太くなるなどです。
(教育相談おおさか 会報『わかくさ』第19号 2017.5.2)